相続税と贈与税

2015年に相続税の基礎控除の改正があり、それまで相続税課税割合は約4%でしたが、現在は約9%まで上昇しています。

改正前と改正後の基礎控除は下記の通りです。

改正前:5000万円+(1000万円×法定相続人数)

改正後:3000万円+(600万円×法定相続人数)

配偶者、子供2人の場合。

改正前:基礎控除額=5000万円+(1000万円+3人)=8000万円

改正後:基礎控除額=3000万円+(600万円+3人)=4800万円

※便宜上、相続税の配偶者控除は省略いたします。

保険に関わる点でみていきますと生命保険金は相続財産には含まれません。相続人が生命保険金を受け取った場合、遺産分割の対象資産にはなりません。受取人固有の財産となります。

しかし、例外はございます。

死亡保険金が高額で他の相続人と著しく差が出る場合

指定された受取人が死亡している

このような場合は「みなし相続財産」として相続税の課税対象資産となります。

保険金全額が相続税課税対象財産になるかというとそうではなく、非課税限度額が設定されています。非課税限度額は下記の通りです。

非課税限度額=500万円×法定相続人数

先の例で、配偶者、子供2人、死亡保険金が2000万円の場合。

非課税限度額=500万円×3人=1500万円

死亡保険金2000万円-非課税限度額1500万円=500万円

死亡保険金から非課税限度額を引いた500万を他の相続財産と合算します。合算されたものが相続財産の総額となります。

【参考】

生命保険金のみを法定相続分にしたがって相続した場合の相続税課税対象額を計算してみます。

配偶者=1000万円-750万円=250万円

子1=500万円-350万円=150万円

子2=500万円-350万円=150万円

※誤って理解している人は生命保険は相続財産になると誤解し生命保険金のみで相続税計算をしています。

多くの場合は生命保険金が相続税の課税対象財産となることはありません。

基礎控除に加え、生命保険の非課税限度額も設定されているためよほどの資産がない限りは大丈夫だと言えるでしょう。

過去に相続財産とみなされた例としては下記のようなケースです。

遺産が生命保険金のみで保険金が高額であり1人のみ受取人としていた。

法定相続人が複数いるが1人のみに多額の保険金を受け取れるようにしていた。

生命保険の本質は万が一の際、残された家族が金銭的に困らず生活が出来るようにすることです。多くの方がそれを考えて契約いたします。生命保険は損得で考えてはいけないですね。

それでは相続税がかからないように生前に贈与すればいいのではないかと思われる人もいると思います。

多額の贈与をすると贈与税の対象になります。そこでよく言われるのが、贈与税の年間基礎控除額の110万円以内を毎年贈与していけばいいのではないかという点で本当に正しいのでしょうか?

贈与契約を結ばずに毎年、一定額を贈与している場合は所得移転とみなされる可能性がございます。

贈与税とは無償でもらった財産にかかる税金です。納税義務者は「贈与を受けた人」です。

贈与税のかかる資産は幅広く、現金、預貯金、自動車等、多岐に渡ります。

お子さんのためにと、お子さま名義の通帳を作成して積立預金をしている方もいらっしゃると思いますがこれも贈与にあたり金額によっては贈与税の課税対象となります。

ご夫婦で旦那様の給料のみで生活している場合、旦那様が奥様にお金を渡していると思います。その都度渡し、それが生活のために使用されていれば贈与にはなりません。

しかし、株式の購入や最近話題の新NISAの購入資金として使用している場合は贈与税の対象になる可能性がございます。

保険契約において注意しなければいけない点を見ていきたいと思います。

生命保険、損害保険ともに関わる保険種目はございますが、より注意が必要な生命保険を見ていきたいと思います。

生命保険契約には3人の登場人物がいます。

契約者:保険会社と契約を結んでいる人。保険料払込義務、契約内容を変更する権限など、権利、義務を有します。

被保険者:保険の対象になっている人。

受取人:保険金を受取る人。

【ご夫婦、子供1人の家庭が死亡保険に加入する場合】

①一般的な契約形態

 契約者:本人

 被保険者:本人

 受取人:配偶者

②贈与税の対象になる契約形態

 契約者:配偶者

 被保険者:本人

 受取人:子

①の場合は契約者、被保険者が同一、受取人が配偶者となっています。

この場合は受取人が法定相続人のため相続税の対象となります。(子供が受取人でも同様です)

②の場合は契約者、被保険者、受取人がそれぞれ違います。

この場合は贈与税の対象になります。

ネットではびこる情報で生命保険契約で最も重要な契約形態を理解せずに、相続対策のために「受取人は誰にした方がいい」など無責任な発言が散見されます。本当に注意して下さい。繰り返しになりますが、よほどの高額な生命保険金を契約していない限り生命保険が相続税の課税対象になることはございません。

高額な保険金額を設定できるのは一般的に会社経営者、自営業者です。一般的な家庭の場合は扶養家族が多い場合など高額な保険金額を設定することがございますが、その場合は 非課税限度額も大きくなります。

【最後に】

相続税や贈与税に関わらず税制改正は頻繁に行われます。特に明らかに節税目的と思われる手法を使っている場合は税務署から確認が入る可能性がございます。

ネット上で公に節税になると言っていることなど何の意味もないことがわかります。

相続税、贈与税対策を検討する際は、弁護士、公認会計士、税理士など国家資格保持者で尚且つ、安易な提案ではなく過去の例から将来的なことを見越したメリット、デメリット、リスクヘッジ方法などのアドバイスをしてくれる方が身近にいらっしゃればご相談された方がよろしいかと思います。

いかがでしたでしょうか?

今回は多くの人には無縁と思われる相続税、贈与税に関することを記載いたしました。2024年4月より、相続にて取得した不動産の登記が義務化されました。過去に取得した不動産にも適用される点が注意点です。

事前に準備することが重要だと思います。少しでもお役に立てれば幸いです。


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